注目の記事 PICK UP!

バントは不要?イマドキの2番バッター事情〜ポイントはOPS〜

日本プロ野球における2番バッターの役割がここ数年でガラリと変わりました。バントや進塁打ではなく、強打でランナーを進めるどころか返してしまうのが最近のトレンドになりつつあります。今回は今後の2番バッターの理想像と本当にバントは必要ないのか考えていきたいと思います。

今までの2番バッターの姿


打順の詳しい説明については以下の記事をお読みください。


従来、2番バッターといえば前にいるランナーをバント、バスター、右打ちなどで自己犠牲を厭わず派手さはないけど堅実、縁の下の力持ち!言うなれば「いぶし銀」という言葉が似合う選手を想像する方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?私はそのイメージが拭えません

特に2番バッターとして印象的だったのは1984〜2006年まで活躍した川相 昌弘選手です。

出典:amazon

バントのスペシャリストとして積み重ねた犠打の数は533個。この記録はギネス記録にも認定されています。

相手がどんな極端なバントシフトを敷いてきてもほぼ必ず成功させる職人芸、堅実な守備で巨人の黄金期を支えました。

プロの世界で生き残るための術としてバントを磨き、観客から「バントしないで打て」と野次られても悔しさをグッと胸にしまってバットを寝かしている姿に、私は幼いながらも強い感銘を受けたことを今でも覚えています。

余談ですが、バントって実はすっごく難しくて140キロ近いボールやキレキレの変化球を右打者なら右手、左打者なら左手で方向を転がしたい方向に角度をつけてからボールの勢いを殺しますが、殺せないと野手にすぐ捕られてしまうし、殺し過ぎるとキャッチャーに捕られてしまいます。

私も小学生のとき、バントをする際に右手がバットの上を持ちすぎたため、指がバットとボールの間に挟まり、爪が剥がれました。

投手の球が遅かったとはいえ、硬球だったので中指の爪がペローンと皮のように剥がれました。痛すぎて人生で1番泣いた記憶があります。

皆さんもバントの際はヘッドの先を持ちすぎないように気をつけてください。

話を戻すと、2番打者とは小技を駆使してランナーを進塁させるのが主な役割でした。

2番強打者ブーム到来?


しかし、2番打者が易々と1球で1アウトあげる時代が終焉を迎えようとしています。

2番打者がバントをせず、強行で風穴を開けるというのがここ最近のトレンドになりつつあり、その代名詞となったのが楽天イーグルスのペゲーロ選手ではないでしょうか?

出典:amazon

立派なあごひげをたくわえて従来の2番打者のイメージとは大きく異なる身長192cm、体重119キロの大男です。

風貌的にはホームランか三振かに見えるペゲーロですが2017年9月6日現在、打率も2割9分6厘と率もしっかり残しています。

川相選手がいた巨人も2番バッター強打者の過度期に入っています。

開幕から7月の頭までは橋本選手、立岡選手、石川選手など従来のような巧打、小技ができる選手を日替わりで起用していましたがなかなか成績が振るわず、7月途中からマギー選手を2番で固定した布陣に変更します。

出典:amazon

2番をマギー選手に固定してから打線が活性化して、2017年9月6日現在Aコース入り目前まで巻き返しています。

マギー選手も体格に似合わず中距離砲のようなバッティングで3割以上の高打率を残しています。

しかし、個人的には攻撃的2番打者の先駆けというと日本ハムの小笠原選手だと私は思います。

出典:amazon

2番打者時の犠打数は驚きのゼロ!今までの常識を覆す2番打者として周囲を驚かせました。

2番打者強行作戦はプロ野球界に止まらず、高校野球の世界でもトレンドになっています。

高校野球というとランナーが出たら間髪入れず送りバント。1アウト1塁で4番打者でも状況によってはバントというイメージを個人的に持っていますが、2017年の甲子園では違いました。

2006年のノーアウトランナー1塁時の2番打者の送りバントをする確率は73.7%でした。しかし2017年になると同じケースでのバントをする確率は47.4%まで下がっています。

せっかくの晴れ舞台で全打席サインがバントだとなんだか切ないので個人的には救われた気持ちになりますが、なぜここまで送りバントの数が減っているのでしょうか?

送りバントの必要性


そもそも送りバントというのは本当に必要なのでしょうか?

意図としてはアウトカウントを1つ献上してでもランナーを得点圏に進塁させる、ダブルプレーの機会をなくすといったものが送りバントの主な役割でしょう。

しかし、野球先進国のアメリカ大リーグでは送りバントの数は日本プロ野球とは比べ物にならないぐらい少ないものになっています。

2015年のデータですが大リーグの合計犠打数は1,200犠打。日本プロ野球は1390犠打でした。

「そんな変わらないじゃないかよ」という声が全国津々浦々どころか海の向こうからも聞こえてきそうですがこの数にはカラクリがあります。

日本プロ野球が12球団に対して大リーグは30球団あります。

1球団あたりの犠打数を計算すると日本プロ野球が1球団あたり約115犠打に対して、大リーグは40犠打。その差約3倍です。


さらに1番少ないところ球団で見ると日本は西武、日ハムで104犠打。大リーグはアスレチックスがたったの14犠打。その差は約7.4倍になります。

必ずしも大リーグがやっていることが正とは限りませんが、ここまで明確な差があるのには何かしら理由がありそうです。

OPSを重視した戦略

何やら暗号のような文字列が出て来ましたがこれがバントが少なくなった理由のようです。「俺・パンダ・好き」の略ではありませんので悪しからず。

OPSとはOn-base plus sluggingの頭文字を取った言葉で、on-base=出塁、slugging=長打を意味して出塁率と長打率を足し合わせた値のことです。

野手を評価する指標の1つであるOPSは打率や本塁打、打点などでは測りきれない野手の能力を客観的な数値で表すために重宝されています。

例えば打率はそこまで高くないものの、選球眼が良くて四球を選んで出塁している選手は打率という数値だけでは能力を表しきれません。

この数値を含むセイバーメトリクスという手法を最初に取り入れて、チームを躍進させたのが先ほど犠打数の少なさナンバーワンで紹介した大リーグのアスレチックスです。

2000年代初めのアスレチックスの快進撃は「マネーボール」という題名でブラッド・ピット主演で映画化され、世界中にセイバーメトリクスの重要性を広げました。

このOPSの数値が送りバントをさせるべきか否かを分ける重要な指標になります。

ボーダーラインはOPS.609


ノーアウト1塁でバントするかしないの境目はOPSが0.609以上か以下かで決めるというのが計算上弾き出せます。

OPSが0.609以上の選手の時は打たせた方がよく、以下の選手の時は送りバントをすることで得点する確率が上がります。

では、OPS.609とはどれぐらいの能力の選手なのでしょうか?

規定打席以上の打者で考えた時、OPSが0.609以下の選手は2017年9月6日現在たった1人しかいません。

それは、世界でしか通用しない男と某掲示板では揶揄されている巨人の小林選手です。

2017年のWBCでは打率.450、OPS1.055という驚異的な成績を残しましたが、2017年のレギュラーシーズンでは打率2割前後、OPSも0.525と規定打席の打者では最下位です。

次にOPSが低い選手が横浜の倉本選手ですが、0.613とヒッティングさせた方が得点が入る確率は高くなります。

あくまでこの計算は一定の条件下での計算になるので鵜呑みは厳禁ですが、平均するとこのぐらいの数値になるようです。

また、プロ野球や大リーグはパワーもあり、バントに対する守備もうまいのでOPS.609という数値に落ち着きますが、少年野球になるとバントでもした方が得手になる確率はだいぶ上がると思われます。

今後の2番打者とバント


2番打者とバントについてOPSという数値も簡単に入れながら紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?

相手投手の兼ね合いや打者の調子、グランドコンディション、天候なども含めて作戦を決めているとは思いますが、今後はデータに基づいた戦いが増えバントの機会は今以上に減っていくかもしれません。

しかし、バントが必要な場面というのは必ずあります。その際は、指を挟まないように気をつけてください。

関連記事

  1. 野球初心者さん必見! 野球における攻撃の基本的なルール

  2. プロ野球界における最上級のタイトル! それが三冠王!

  3. WBCの大リーガーの出場について〜アメリカが本気ではないと言われる理由とは〜

  4. GW特別企画!球場別野球デートのススメ〜横浜スタジアム編〜

  5. 流行語年間大賞! 巷で噂の”トリプルスリー”ってなに?

  6. 野球の基礎(用具編)-WBC前に覚えておきたい!

  7. 野球のドラフト会議ってどんな会議?-ルールは?「プロ志願届け」ってなに?

  8. 野球のちょっと複雑なルールを解説②-ボーク、コリジョンルール、インターフェア-

  9. 野球における背番号の意味とは?

PAGE TOP